
以前、いじめ被害者により、匿名でいじめに関する書き込み等を行っていた『いじめっ子』に対する反撃が開始されたことについて解説してきました。
そして、今回いよいよいじめに関する書き込みをした者の保護者に対し損害賠償請求の裁判が起こされたようです。
今後は同様のいじめなどに対しては、これと同じような裁判が起こるという可能性が見えたことは大きく、いじめ被害者にとっては救われる道が具体的にできたことは大きいですよね。
もし、同じようないじめで悩んでいる方がいたらこの一連の裁判の流れをここで再度書いていきますので、読み進めていただければ理解が深まると思います。
★目次(もくじ)
今回のいじめの特徴
今回裁判になったいじめの背景には以下があります。
・SNSやネット上の掲示板等に匿名でいじめ被害者に関する情報を書き込み
・この書き込みによって、いじめ被害者が精神的な苦痛を受けた
直接的な暴力である殴るけるなどによるいじめはもちろん犯罪ですし、そのような行為を行った者は損害賠償の責任も当然ありますが、
SNSやネット上の匿名掲示板等に、悪口や誹謗中傷などを書き込んだ場合でも、いじめに該当し、そのような行為を行った者にも損害賠償の責任が発生するということが明らかにされることは今回の大きな特徴といえると思います。
(おさらい)いじめ被害者が反撃する手順・流れ
それでは今回のようなSNSや匿名掲示板などで、
いじめに関する書き込み等をされたいじめ被害者が、いじめっ子に対して反撃する方法
を具体的に見ていきたいと思います。
①SNSや匿名掲示板運営者に情報開示請求
まず、SNSや匿名掲示板の運営者に書き込んだ者の登録情報(氏名・メアドなど)やIPアドレスなどの情報開示の請求をすることになります。
これはまず、外部からでは誰が書き込んだのかわからないので、SNSや匿名掲示板の運営者に、書き込みに関する情報を開示するように請求するということです。
詳細についてはこちらを参考にしてみてください。

②プロバイダ等に情報開示請求
そして次に、SNSや匿名掲示板の運営者から提供された開示情報をもとに、インターネットのプロバイダ等に当該開示情報に該当する登録情報(氏名・住所など)の開示請求をします。
こちらは、①で開示された書き込みを行った者の情報(利用プロバイダ情報やIPなど)が一致する者の情報を、プロバイダ等に開示するように請求するということです。
詳細についてはこちらを参考にしてみてください。

③書き込みを行った者(本人が未成年の場合は保護者)に損害賠償請求の裁判
上記①と②を通して、書き込んだ者(プロバイダとの契約者)の氏名や住所を取得できますので、この情報を元に、損害賠償請求の裁判を行います。
今回のケースでは、①の発信者情報開示請求の裁判で、開示命令の判決がされたときに、いじめ(プライバシーの侵害)を認定しているようですので、この損害賠償の裁判もいじめが認定され、賠償金の支払い命令が出ることは濃厚だと考えられます。
いじめ被害者が裁判するメリット
このような流れでいじめ被害者が損害賠償請求を訴え、勝ったとしても賠償額は正直かなり少ないと考えられます(一般的な相場として数万~数十万程度)。
しかし、勝訴すれば訴訟費用の一部は損害賠償の中に含まれることになりますし、それ以上の恩恵をいじめ被害者は受けられると考えられます。
それは、いじめ被害者に対するいじめがなくなる ということに尽きると思います。
このような裁判自体を起こすのは、いじめ被害者の親族や保護者などになると思いますが、いじめ被害者自身が一番望むことは、お金でもいじめの証明でもなく、
今のいじめとこれからいじめ自体がなくなること
ですよね。
裁判を起こすことによって、周りの人たちに知られてしまうデメリットもありますが、常識で考えれば、いじめに関する裁判を起こした経験がある人たちに対し(それも勝訴している)、いじめ行為をするような人はまずいないと思います。
特に学生など未成年がこのようなことを行っていた場合は、その保護者が当事者として巻き込まれますから、抑止力はとても大きなものになると考えられますよね。
もし、いじめなどで悩んでいるのであれば、多くの解決方法がありますので、一人で悩まずに一番身近な誰かに相談してくださいね。
それでは~。