
居酒屋の予約の悪質なキャンセルを繰り返していたとして、男が逮捕されたというニュースが有りました、
今までも予約キャンセルについてはよく問題になっていたものと思いますが、社会での影響も大きくなってきたことなどを理由として警察も動いたようですね。
今回はこの予約キャンセルについての考え方を確認してみようと思います。
★目次(もくじ)
悪質性のある予約キャンセルは逮捕の危険がある
今回のケースでは
・繰り返し行われたこと
・複数店舗で同じ人物が行ったこと
などを主な理由として、
・偽計業務妨害
第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
の構成要件を満たすとして逮捕にまで至りました。
これを見ると分かる通り、1人では物理的に不可能な嘘の予約であることが明らかですよね。
1人が同じ日時に違う場所で飲食を同時にすることは不可能ですから、嘘の予約であったことは明らかです。
このような悪質性が高い(証明できる)ものは今後も逮捕されることが増えてくると考えられます。
単なる予約キャンセルだけでは逮捕は難しい
一方で、何らかの理由があって予約をキャンセルする場合でも逮捕される可能性はあるのでしょうか。
これは100%とは言えるものではありませんが、現状ではまず逮捕されることはないと思います。
単発での予約キャンセルの場合、本当にやむを得ない事情があったのか、そもそも予約をキャンセルしようと考えていたのか第三者が判断するのはとても困難です。
それは警察も同じですから、予約キャンセルについて悪質な意図があったのかどうかを1件1件調べるのは不可能です。
ですので、単純に予約のキャンセルがあったからと言って逮捕されることはまずないと考えられます。
キャンセル料は当事者間で自由に決められる
また、予約のキャンセルと言えば、キャンセル料が頭に浮かぶと思います。
このキャンセル料については特に法律等で定めがあるわけではありませんので、当事者間の契約において自由決められています。
良く見られるのは、申込みの際にキャンセル料について、
・前日までは料金の50%
・当日は料金の100%
などと定めているケースでしょうか。
ただ、実際には定めがあってもキャンセル料を徴収しないなどの対応も見られると思います。
このようにキャンセル料については、原則として当事者間で定められたもので運営されています。
不当なキャンセル料は認められない
このように予約の申込みも契約の1つなので、予約キャンセルに関するキャンセル料は当事者間で定めることが可能です。
ただし、メチャクチャな内容のものは認められない場合もあります。
例えば、1万円の料理を5人分予約しただけである場合に、当日のキャンセル料は100万円とされていた場合に、実際に請求されたとしても、裁判になればまず認められません。
この場合、常識的に考えてもお店の損害額は最大で5万円程ですから、キャンセル料を最大に見積もっても5万円というのが妥当な判断であるということになります。
よく見ることがある月極駐車場の違反駐車に対する違反金でも、1回10万円とか書いてあることがありますよね。
これも考え方は変わらないので、実際の損害額が本当に10万円であれば妥当ですが、そうでないのであればやはり認められません。
なかなか1回(数時間程度)の駐車場の駐車費用が10万円の場所って日本にはなさそうですすが。
このような不当なキャンセル料、損害金の請求は最終的には(裁判で争えば)認められるものではありませんので、もし不当な請求等がされた場合には、毅然とした態度で接することで良いと思います。