ニュースで見たものですが、
『妻に不倫され離婚した人が、妻の不倫相手に離婚したのはおまえせいだから、「離婚」したことに対する慰謝料を払え!』
と訴えた裁判で、裁判所による初判断が出たようですね。その判断は、
『離婚するかしないかは、あくまで当事者同士の問題であるので、第三者がその当事者の離婚に対し積極的に関与するなど、特別な理由がなければ、慰謝料の支払い義務はない』
というものでした。
このニュースを見た人のコメントの中には、『不倫した人に優しいとか判断』とか、『不倫を助長するような判断』など、不倫した方に有利(優しい)な判断だと感じた人もいるようです。
そこで今回は、この『不倫が原因で離婚した場合、その離婚に対する慰謝料は認められない』という判断が、実際、不倫をした人に有利なのか、また不倫行為の助長になるものであるのかについて書いてみたいと思います。
なお、不倫についてはこちらの記事もあります~。
★~不倫の代償は大きい!?~★
★目次(もくじ)
不倫が原因の「離婚」に対する慰謝料は、基本認められない
まず、不倫が原因で離婚した場合でも、その離婚したことに対する慰謝料は認められないということでしたよね。
これは、例え不倫が原因で離婚したとしても、不倫された側の当事者は離婚したことに対する慰謝料の請求を、不倫していた第三者(配偶者でない方)にできないということになります。
一目見ると、それなら不倫による慰謝料は認められる場合と、認められない場合があるのかと勘違いしてしまいそうにも感じますが、
あくまで今回の判断は、
『不倫され、その不倫を原因とした離婚で精神的な損害を被ったことに対する慰謝料は認めなかった』
というだけのものですので、不倫をしても慰謝料を払わなくて良いということではありません。勘違いしないようにしましょう。
なお、もしこれが認められていたら、不倫を原因とした離婚の際の慰謝料総額について、今までより増えることになっていたかもしれませんね。
不倫行為に対する慰謝料は認められる
ということですので、今まで認められていた、不倫行為(自体)に対する慰謝料の判断については、今回の判断は何の影響もありません。
不倫行為に対する慰謝料は、変わらず認められますから(この点に争いはありません)、その点を勘違いしないようにしましょう。
結論 今までと何も変わらない
ということで、ニュースで見た『不倫が原因の離婚に対する慰謝料は認められない』というのは、
不倫行為(不貞行為など自体)により、精神的な損害を受けた者(不倫された側)は、慰謝料が認められるが、
(もしその)不倫が原因で離婚まで発展したとしても、その離婚したという事実についての慰謝料は基本認められない。
というものですので、結局今までの不倫の慰謝料の考え方について、特に何か変わることはありません。
何かあたり前のことを、今更という気もしますが、過去に不倫が原因で離婚した場合に、
『離婚したことも不倫した奴らのせいだから、その分の慰謝料も払え!』
という争いがなかったため、今回の裁判所による初判断が注目されたようですね。
ただし、
『特段の事情がない限り慰謝料は認められない』
ということも書かれていましたので、もし不倫相手が離婚を促すような行為を積極的に行っていたなど、相当の理由がある場合には、逆に認められることもあるという含みがありますね。
今回は裁判所の判断がこのようになりましたが、離婚はあくまで当事者間の問題だとしても、もし不倫が原因で離婚した場合、その離婚に及ぼした影響は軽いものではないとも思ったり。
不倫は誰も幸せにしませんからね。
それでは~。