「マリカー」裁判。任天堂の最強法務部が商標で勝てない理由 【商標】

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たびたび話題になる、「マリカー」問題。

 

最近の裁判で任天堂の主張が認められ、キャラ衣装の使用禁止と1000万円の賠償金の支払いなどが認められました。

 

争う根拠となったのは、「著作権侵害」と「不正競争防止法違反」です。

 

「著作権」はおなじみのやつですね。

★やさしく解説!著作権とは~★

ブログ初心者がついでに読んでおきたい、「著作権」のことやさしく解説します! ~著作権とは? 著作権の侵害可能性のある行為例~

 

「不正競争防止法」とは、簡単に言うと、企業同士の競争が公正に自由に行われるようにしましょうっていう法律です。

 

・マリオカートのキャラの衣装をレンタルしたり使ったりするな~!

・マリカーのサービスが任天堂のサービスだと勘違いされるからやめろ~!

 

と任天堂はプンプンでしたから、勝訴してホッとしているかもしれません。しかし判決の翌日には、MARIモビリティ開発(旧社名株式会社マリカー)が控訴し、現在も係争は続き、決着までにはまだまだ長い時間がかかりそうです。

 

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商標でやっつけようとした任天堂

実はこの裁判の前に任天堂は他の方法でMARIモビリティ開発をやっつけようとして失敗しているんです。

 

2017年2月に今回の訴訟を起こしていますが、それ以前、1月に特許庁から商標登録異議申し立てが却下されています。

 

これは簡単に説明すれば、

 

「マリカー」という商標登録に成功していたMARIモビリティ開発に、任天堂が「マリカー」を使わせないぞ!と、特許庁に対し「マリカー」という商標登録をなかったことにしろと申請したら

 

いやです!(特許庁)と断られたということですね。

 

少し「商標」についても説明入れますね。

 

「商標」というのは、簡単にいえば、

 

自分の商品ですよー。だから誰も使うんじゃないぜー。という意味でつける、独自の標識をいいます。ブランド名とかトレードマークと言えばわかりやすいかもしれません。

 

これを特許庁に登録すると、登録商標となり、その独占的な使用や権利が認められるようになります。

 

また、商標登録する際には使用分野(役務と言います)の区分を指定し登録します(例えば、ゲームソフトなど)。

 

商標(呼び方)+使用分野(役務)で無事登録できると、その商標は、その使用分野では他人が一切使用できなくなるという強力な保護が受けられるようになります。

 

商標登録は早い者勝ちですから、先に登録されると同じものをそのあとから登録することは基本的にできません。

 

「商標」とはこのようなイメージをもってもらえればよいと思います。

 

そして、商標登録をめぐる経緯はこのようなものでした。

 

2016年6月

MARIモビリティ開発が「マリカー」を商標登録。すでにこの時点で役務内容には自動車(自体)などや自動車などのレンタルなどが含まれる。

 

2016年9月

(おそらく慌てて)任天堂が「マリカー」の商標登録への異議申し立て

 

2017年1月

特許庁が任天堂の異議申し立てを却下

 

2017年2月

任天堂が今回の訴訟を起こす

 

今回の訴訟を起こす前に、すでにMARIモビリティ開発に「マリカー」という商標を登録されてしまっていて、

 

MARIモビリティ開発は「マリカー」という呼称を使用して、自動車自体の販売等や自動車のレンタル業などを行うことは適法に可能な状態となっていました。

 

一方、任天堂はというと、当時は「マリカー」については何も登録していませんでした。

 

特許庁の商標検索で調べてみると、現在はゲーム機本体やゲームソフトの分野のみ登録があるようですが。

 

ですので、任天堂が「マリカー」という呼び方を使うなと言えるものは、ゲームソフトとゲーム機本体などに関するところのみで、

 

商標の問題として、MARIモビリティ開発に「マリカー」の使用をやめさせることはできません。

 

そして仕方なく、MARIモビリティ開発の「マリカー」の商標登録をなかったことにしたかったけど結局失敗したという流れですね。

 

今回の訴訟の前には、あわよくば商標でやっつけてやろうという任天堂の思惑により、すでにこんな戦いがあったのです。

 

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最強法務部の油断

もし仮に、任天堂があらかじめ、「マリカー」という商標を主な使用分野で登録をしていたらどうでしょうか。

 

MARIモビリティ開発は「マリカー」を商標登録することができなかったでしょうし、「マリカー」という名称も使用できなかったはずです。

 

任天堂の最強法務部としては、今回の問題が起きる前に「マリカー」を商標登録をしていなかったことについて、リスク管理という視点では少し甘かったかなと感じているのではないでしょうか。

 

もともと「マリカ-」は全く商標登録されていませんでしたからね。完全にノーマークだったと考えられます。

 

まあ、それを知って、MARIモビリティ開発は「マリカー」を悠然と使用し、先に「マリカー」を商標登録して抑えたのだと思いますが。

 

誰かが「マリカー」を商標登録を申請すれば、1か月後ぐらいから出願公開され確認できるのですから、ちょっと油断があったのかなと感じずにはいられません。

 

泥沼化の可能性

今回は「著作権侵害」と「不正競争防止法」からの訴えでしたよね。

 

そして、とりあえずキャラっぽい衣装の使用や任天堂がやっているサービスに見えかねない行為のみが禁止されたにすぎません。さらに控訴されたのでまだ確定ではありません。

 

衣装なんて、色を少し変えたり、色の組み合わせを変えたりして使われたら、その度に似ているかの議論が再発するでしょう。

 

サービス内容に至っても、現行のサービス内容はやめろという判断が出ただけなので、何かあれば随時不正競争防止法に抵触するかの議論が再発する可能性があると思います。

 

いずれも裁判所で争わないと結論が出ないところで、MARIモビリティ開発がサービス自体をやめるまで、これに関する争いは続いていくのかもしれません。

 

まさに終わりの見えない泥沼にはまる危険性があり得ると感じます。

 

今回の訴訟では勝った最強法務部ですが、少しの油断のせいなのか、ベストな戦いができないと感じる事件でした。

 

いやー法務部って大変ですね。