
さて今回は実際に人事にいたときに見てきたもので、
パワハラやセクハラをした人とされた人の差があまりにも大きすぎる
という疑問について書いていきます。
あまり語られることも少ないこの問題、このような記事をきっかけに、会社などををはじめ当事者の意識の改善に繋がってくれればと思いますね。
★目次(もくじ)
パワハラをした方とされた方の処遇には大きな差がある
まず、パワハラをした人の処遇について見てみます。
会社でパワハラ(セクハラを含む、以下同じ)などの問題が起こると、パワハラをした人は何らかのペナルティを受けることになります。
就業規則などに基づいての降格や報酬の減額などの懲戒処分でしょうか。とにかく自分の身体などには何の影響もないペナルティが一般的です。
一方で、パワハラをされた人はどうでしょうか。
この現代に及んでもこのような行為を通報したものに対し、逆に報復をするような会社もあるでしょう。
また、会社が救済的な処置をとってくれたとしても、部署移動や休職等の承認程度ではないでしょうか。
この時点で、パワハラをされた方は、心身のいずれかまたは共に不調などをきたし正常に働けなくなっていることが多いのではないかと思います。
この大きな差は伝わりますよね?
パワハラをした方は、降格や減給等だけで心身ともに異常はなく、その後についても淡々と仕事についていて働いているが、
パワハラをされた方は、心身が衰弱し、異常をきたし正常に働けない状態に追い込まれる。
このような常識で考えればおかしなことが放置されているわけです。
パワハラをした方は心身を病まず正常な社会生活を送る
そして、パワハラをした方は、降格処分などはあれど、心身は健常のままであり、その後も正常な社会生活を送っていくことができます。
一定期間が過ぎ、このような行為が忘れ去られていった後には再度の昇格なども行われていることも事実です。
とにかくパワハラをした方は、一時的に待遇が悪くなるだけにすぎず、その後は他の従業員等と同じように何のペナルティもなく、会社生活および社会生活を送っていくことが多いです。
パワハラをされた方は心身を病み、休職や退職による生活不安を抱え、人生の一部を破壊される
一方、パワハラをされた方はどんな歩みをすることになるでしょうか。
私が見てきた限りでは、パワハラをされた人は欠勤、休職または退職という道をたどることが圧倒的というかほぼすべてです。
そして体調の不調だけでなく、心を病むことになり、通院や自宅療養などで回復を図ることになります。
当然その間、生活の保障は一部の大企業を除けば無い(無給)ことが多いですし、傷病手当金などの公的機関の利用はできますが、支給までに2か月程度は必要であったり、正常に働いていたときの給与の3分の2程度を受け取れるにすぎません。
なおも、心の病は回復するのに長期にわたることが多いですし、なかなか回復まで至らないことも多いです。
このように、パワハラをされた方は、それまでの正常な社会生活からの離脱を余儀なくされ、心身ともに病み、いわば人生の一部を破壊されたとも言えるような状態に追い込れることとなります。
とにかく労働法と社会保障の制度を改善するべき
ということで上記で見てきたように、パワハラをした方とされた方では、その後の歩みが大きく異なっており、
この大きな差は絶対に改善しなければいけない現代の問題
であると感じています。
現状の労働法や社会保障(健康保険)制度では、パワハラをした方のデメリットの少なさと、パワハラをされた方である一方的に弱者に追い込まれてしまった人を救う内容が薄すぎます。
パワハラをした方は自分の意思に基づいて行っているわけですから、そのような行為があった場合は最低でも犯罪と同程度以上のペナルティがあるべきですし、
パワハラをされた方は、自分の意思に基づかず一方的に追い込まれるわけですから、犯罪にあったのと同じ程度には補償があるべきもののはずです。
労働基準法は使用者より弱い立場の労働者を守るための、いわば弱者のための法律ですし、社会保障制度は、社会的に弱い立場の人を助けるための制度という側面もあるはずです。
しかしながら現代の労働基準法では、休職などにより所定の出勤日数の8割以上の出勤日数を越えないと有給休暇の付与は0となるなど、本当におかしな状態で放置されています。
このように現状の労働基準法と社会保障の制度は制度の趣旨からも、論理的にもおかしいものとなっており、私としてはこのような現状を改善すべく、できるから取り組んでいきたいと考えているところです。