こんにちは。人事と法務の経験があるウィッフィーです。
以前の記事で、「退職代行」が賑わっている中、退職自体(労働契約の解約という行為)は難しい手続きではないので、自身で退職処理する場合についての考え方や方法を書かせていただきました。
以下の記事ですね。
★~ 一方的に退職するときの最短期間は2週間ですが、期間の定めの有無で変わる話 ~★
★~ 退職時の理由は不要。伝える義務もない。退職の申し出方法も自由 という話~★
★~ 「退職届(願)」の書き方、書面サンプル の話~★
これを順番に読んで、実行してもらえば退職時の対応としては問題のないものだと思っています。
しかし、世の中にはまだまだ違法行為を認識できなかったり、平然と人権侵害行為などをしてくる会社が多いのも事実だと思いますので、今後も「退職代行」の需要は一定数以上見込めそうですよね。
そして、最近では「退職代行」についての記事も良く見かけるようになりましたが、新しいビジネスのためか誤った情報が多い印象と、ときにはそのまま信じてしまうと危険な情報も見かけたりしています。
そこで、今回は「退職代行」において、単なる『代行業者』に依頼する場合と『弁護士』に依頼する場合の大きな内容の違い、ネット上で見た誤った情報などについて書いていきたいと思います。
★目次(もくじ)
『代行業者』と『弁護士』では依頼人との関係が異なる
単なる『代行業者』(特に資格等を持たない『代行業者』)と『弁護士』(弁護士又は法律事務所が行っている退職代行サービス含む)では、その立場が決定的に違っています。
そして、この立場の違いはそのまま「退職代行」サービスの内容に関係しています。
『代行業者』
『代行業者』は、あくまで依頼者の退職をお手伝いするという立場です。
ですので、退職に関する手続きや対応は本人(本人名義)で行うこととなり、わかりやすく言えば、
『Aさんが、退職すると言っています』という内容を会社に伝えるだけのものとなります。
この場合、Aさんの代わりに会社と交渉したり、その場で何かを判断したりすることはできません。
これは、退職というのは、労働契約の解約という法律に関する手続きになりますから、弁護士の独占業務であり、これに違反すると罰せられてしまうからです。
非弁行為と呼ばれるものですね。
ですので、『代行業者』の立場としては、本人の意思を会社に伝え、会社の意思を本人に伝えるだけということが基本となります。
ということは、例えば、
退職日の調整や有給の取扱いの交渉、会社から依頼者本人への連絡を止めたり(お願いして会社が承諾してくれれば止められますが)することはできません。
このあたりを間違った情報で書いている記事は多いので気を付けてくださいね!!
『代行業者』の実務においては、会社側から何か言われた際には、
「本人に伝えます」と対応し、
依頼人に対し「会社はこう言ってますがどうしますか?」と
その都度確認が入ったり、また事実確認をしようとした会社から依頼人本人への連絡などもありえるわけです。
依頼人は、会社と一切関わりたくないと思って「退職代行サービス」に依頼したのに、いちいち確認が入ったり、直接会社から連絡が来たりする。
どこで依頼しても同じだと思って、特に調べもせず『代行業者』を選び依頼してしまった場合には、最悪このようなことが起こることもありますので、利用の際には事前にしっかり確認してくださいね。
『弁護士』
一方、弁護士ですが、こちらはかなり心強いです。
なんと言っても、依頼者の代理人として行動できますので、わかりやすく言えば、すべてお任せできちゃいます。本人の代わりに基本的に何でもすることができます。
そして、依頼者本人への直接連絡もほぼ止められます。
「本人に代わり」という立場で、その場で調整したり、判断したりすることもできるのですね。
例えば、事前に『退職日は〇日で、有給は基本買い取りしてもらう方向で、本人への連絡はなしでお願いします』と方針だけ決めておけば、その結果となるように交渉や説得などを弁護士の方で行ってくれるというわけです。
さらに、一番心強いといえば、やっぱり法律の専門家というところですよね。
ブラック企業の違法行為や要求なども突っぱねてくれるわけですから、まさにスーパースターとも言えます。
このように、単なる『代行業者』と『弁護士』では立場が違いますので、出来る内容に大きな差があります。
まずはこのあたりを事前に認識しておければ良いと思います。
なお、弁護士に依頼したいと思ったときにはこちらで~。
★~弁護士に相談する前に読む記事! 弁護士の探し方、考え方、方法のまとめ~★
https://wiify07.com/blog-how-request-lawyer/
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『代行業者』と『弁護士』 実際にできること
それでは具体的に何が出来るのかをまとめてみます。
『代行業者』
・本人の意思を会社に伝え、会社の意思を本人に伝える(使者)
・『こういうことにしましょう~』、『こうしてみては』などの助言をもらえる
・会社と直接やり取りをしてくれる
『弁護士』
・本人の代わりに、会社と調整や交渉をしてくれる
・会社から本人への直接連絡はほぼ止められる
・法的な視点からの助言や対応方法などを提示してもらえる
・ブラック企業の違法行為を突っぱねられる
・希望やお願いごとの相談、結果を提示してのお任せが可能
このようなところかなと思いますね。
『代行業者』と『弁護士』では依頼料の差が大きいとは思いますが、その分できることの差も大きいことがわかると思います。
『代行業者』と『弁護士』依頼のメリット・デメリット
ここまで内容を見ると、何でもかんでも弁護士の方が良いと思われやすいですが、それぞれに依頼する場合のメリットとデメリットを確認してみましょう。
会社がすんなり応対してくれると想定できる場合などは『代行業者』の方がメリットがあったりします。
『代行業者』
・依頼料金が弁護士に比べ低価格な場合が多い
・すんなり退職ができる場合、弁護士に依頼する場合と結果が変わらない
ここで少し補足ですが、他のブログなどで『退職代行』のメリットとして、伝染したように揃って同じことを間違えて伝えていたり、勘違いするようなことが書かれていることが多いです。
特に、以下には注意してください!!
・「即日退職ができる」と書かれている
→『代行業者』に依頼すると、当然に即日退職ができるかのように書いてあることが多いですが、そのような法的根拠も事実もありません!!
『代行業者』が間に入ったからと言って、必ず即日退職できるという保証はない。というのが正しいです。
そしてこれは『代行業者』でも『弁護士』でも同じです。基本的には即日退職ができる唯一の方法は会社側が承諾した場合だけなので注意しましょう。
・「訴訟になったり、損害賠償請求されない」 と書かれている
→これも酷いですね。依頼人の置かれた状況にかかわらず、『代行業者』や『弁護士』に依頼することにより、何らかの訴訟や損害賠償請求のリスクを0にすることは不可能です!!
例えば、依頼人が会社に実損を発生させるような出勤拒否などをしておいて、損害賠償請求はなしでという話は全くもって無理な話だと思います。
あと、そもそも訴訟提起(勝敗関係なく)は誰でも自由にできることなので、相手次第ですから他人には止められないものです。
現実問題として、会社が従業員等に訴訟を起こすことはほとんどありませんが、これは、そもそも従業員側の損害賠償責任が認められにくいことと、勝っても費用倒れになってさらに出費が増えるからというのが圧倒的な理由です。
決して、『代行業者』や『弁護士』に依頼するからではないので注意しておきましょう。
・「100%退職できる」 と書かれている
→この場合の100%というのは、
その『代行業者』の実績として今までは100%退職できている、という意味と、
会社とどんな状態であっても依頼すれば100%退職できる、という意味に取れると思います。
そしてほとんど場合、前者で使っていると思いますので勘違いしないようにしておきましょう。
『代行業者』に依頼したからと言って、会社と依頼者間の労働契約に直接影響を及ぼすことはありませんから、100%退職させることができるという法的根拠も事実も存在しません。
このような情報には本当に注意してください!!
さて本題に戻ります。
続いて『代行業者』に依頼する際のデメリットとしては、
・会社との条件等の交渉はできない(あくまで本人と会社の意思を伝達する形式)
・両者の言い分が対立し紛争になった場合に対応できない
・会社から本人への直接連絡を止められないことも多い
などになると思います。
そして『弁護士』ですが、
『弁護士』
・本人に代わり、交渉も調整も行ってくれる
・会社側の違法な主張や人権侵害行為を指摘したり、拒否できる
・万が一紛争になってもそのまま対応できる
・会社から本人への直接連絡をまず止められる
このようなところでしょうか。
そして、デメリットとしては、
・代行業者より依頼料金が高額になりやすい
・依頼する敷居が高く感じる
・すんなりと退職できた場合には、『代行業者』に依頼する場合と結果が変わらない。
などがあると思いますね。
『代行業者』と『弁護士』 利用に向いている人
それでは最後に、「退職代行サービス」を利用する際の『代行業者』と『弁護士』、それぞれの利用に向いている人の条件について書いてみたいと思います。
『代行業者』の利用が向いている人
・すんなり退職できる会社
・料金をなるべく安く抑えたい
・会社からの連絡に耐えられる(無視するという選択はできそうです)
・自分で多少の対応は可能な人(退職届の郵送など)
など、特に心配ごとや紛争が起こりそうにない人、交渉ごとやほとんど調整ごとがない場合には、こちらの利用が向いているのではないかと思います。
『弁護士』(弁護士や法律事務所の代行業者含む)利用が向いている人
・すんなり退職できると考えにくい会社
・退社後にも嫌がらせ(離職票を送らないなど)などの問題行為が考えられる会社
・コンプライアンス精神が欠けているワンマン、同族企業
・退社時に問題となる事案が存在している場合
・会社とは直接かかわることを避けたい場合
・お任せしたい場合
・退職後に残業代未払いやハラスメント行為などで訴えたい場合
などの理由が1つでもある方は、こちらの利用が向いているのではと考えますね。
「退職代行サービス」自体は新しいサービスという面もあるためか、一部の誤った情報が多く発信されているのを確認しております。
もし実際に「退職代行サービス」を利用するときには、ネットの情報だけを盲信せず、事前に不明な点をしっかり確認することを強くおすすめしたいところですね。
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それでは。