
以前の記事で、「フリー素材」の使い方と考え方について書いてみました。
★~「フリー素材」の正しい使い方、考え方やさしく解説します!~★

この中で、「フリー素材」の著作権の取り扱いに関する確認と、「フリー素材」にも著作権があって、ほとんどの場合で、その著作権者から指定された利用範囲に限り利用できるものであると書きました。
「フリー素材」はフリーという呼び名もあって、勘違いしやすいのですが、多くの「フリー素材」が著作権フリーではないことについて、今回はもう少し書いていこうと思います。
★目次(もくじ)
「フリー素材」と著作権法の関係
まず、「フリー素材」と言えども、著作権法に守られているという話です。
難しい言葉はなるべく使いたくないので、著作権法と書きたくないのですが、やさしく解説を入れるので、我慢して読み進めてみてください。
イメージがわきにくいかもしれませんが、「フリー素材」と著作権法の間には、特別な関係はありません。
「フリー素材」とは、その
「フリー素材」の著作権者が、あらかじめ定めた範囲での利用を許可しているだけ
なので、単に著作権者の利用許諾を得て、利用させてもらっている、というものです。
実態としては、通常利用の場合と同様、決められた範囲の中での利用が認められているだけに過ぎないということになります。
著作権法との関係で言えば、単に許諾を得て利用している、普通にどこにでもある適法行為である、というだけのものなのですね。
著作権法の「私的利用目的」と「フリー素材」でいう、一般的に使われる「個人利用」の違い
ここでは、まず著作権法の例外規定と言われている「私的利用目的」について書いてみます。
著作権法では、(第30条)私的使用のための複製 という条文があって、これを根拠として、
私的利用目的の範囲であれば、著作権者の許諾を得ずに、著作物を利用しても良いことになっています(極一部の条件で利用できませんが、常識の範囲で利用する分には該当しないので特に知らなくても問題ないです)。
簡単に説明すると、例えば、好きなキャラクターの画像をDLして、自分専用のDVDなどにプリントアウトして貼ったりするなど、著作物を私的な目的のみで複製して利用するような場合です。
ちなみに現代では、SNSなどの自分専用のアイコンに、どこからか拾ってきた画像を無断で設定したりすることもやってしまいがちですが、
アイコンの公開範囲や条件などによっては、著作権侵害行為となる可能性があるので、このような利用方法は注意が必要なところです。
このように、著作権者の使用許諾がなくても著作物を使用できるとされているものが、著作権法上の例外規定としていくつかあり、
その1つが、この私的利用目的の範囲内であれば、著作権者に許諾を得なくても複製し利用できるというものです。
私的の範囲は、自分や家族程度の極めて狭い範囲に限られますので、公開されているブログやSNSなどで利用するケースでは当てはまりません。
このようなものが、「私的利用目的」と考えてもらえれば良いと思います。
一方、「フリー素材」提供サイトなどでよく書かれている「個人利用での範囲」という表記について。
これは、サイトごとの言葉の定義によりますが、個人的に利用する分には問題ないという意味で使われているケースが多いと思います。
個人的な利用であれば、決められた利用方法の中で自由に利用ができるということですので、利用条件次第にはなりますが、個人であれば、ほぼどんな使い方もできるということになりそうです。
このように、「私的利用目的の範囲」と「個人利用の範囲」とでは、自由度に大きな差がありますが、
著作権法上の「私的利用目的の範囲」というものは、著作権者の許諾を得ずに利用ができるもの であって、
「フリー素材」の「個人利用の範囲」というものは、著作権者の許諾を得た上で、利用ができる ものですから、
そもそも利用の範囲に、大きな違いがあるのは当然ですよね。
この2つは、なんとなくごちゃ混ぜになりやすいものと感じますが、この機会に覚えておくと知識が深まると思います。
「フリー素材」は著作権フリーではない
ここまで来たら、わざわざ説明の必要はないかもしれませんが、一応書いておきますね。
「フリー素材」とは、著作権者が著作権の放棄をしているものを除き、これまでの説明の通り、
著作権フリーではありませんし、
逆に著作権者の利用許可の範囲のみで、その利用が許されているという、
まさに著作権に縛られている
ものです。
もし決められた利用範囲以外で利用した場合には、当然著作権侵害行為となってしまいます。
ですので、「フリー素材」を利用する際には、その利用条件を守る以外に、正しく利用する方法はないということになります。
このように、実は縛りの多い「フリー素材」を使っている人は多いと思いますが、縛りのほかにも、「フリー素材」の利用にはリスクもついて回ります。
★リスクの内容についてはこちらでどうぞ~★

なぜ、「フリー素材」と呼ばれるようになったのかは知りませんが、そこまでフリーではないものが「フリー素材」と呼ばれているのは事実であり、
その取り扱いの際には、問題が起きないよう気を付けて利用していきたいものですね。