先月、任天堂から「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」(以下「任天堂ガイドライン」といいます。)が発表されました。
これは任天堂が提供しているゲームプレイに関する動画や静止画の利用について定めているものです。
この発表で、今までグレーゾーン(という名の本当はアウト)であった、無許可でのゲームプレイ実況などの動画公開について、はっきりさせたことはとても素晴らしいことだと感じています。
さすが、任天堂ですね。
そして、これが発表されて以降、なぜかこの「任天堂ガイドライン」について何回か聞かれたということもあって、
今回はこの「任天堂ガイドライン」について解説してみようと思いますね。
任天堂のあの最強法務部がやさしく作ってくれているとは思いますが、一般の人や子供が一読しただけでは、理解が進みにくいかなというところなどを補足できればと思います。
★目次(もくじ)
ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン の個別解説
任天堂ガイドラインでは、以下のように6個の項目に分かれて定められています。1つずつ引用を入れながら説明していきますね。
出典元:ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン(https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html)
・個人であるお客様は、任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画等を、営利を目的としない場合に限り、投稿することができます。ただし、別途指定するシステムによるときは、投稿を収益化することができます。
まず、個人に限るということですね。法人等の団体(会社とか)は対象にはなりませんので注意が必要ですね。あくまで個人(=人)に限ります。
そして、原則として営利目的では動画投稿はできません。投稿という表現ですが、公開という意味でとらえても良いと思います。
ただし、後述する任天堂指定のサイト等への投稿であれば、営利目的であっても問題ないということになっていますね。
・お客様は、正式な発売日またはサービス開始日を迎えた任天堂のゲーム著作物を、投稿に利用することができます。正式な発売日またはサービス開始日を迎えていないものに関しては、任天堂が公式に公開した任天堂のゲーム著作物のみを投稿に利用することができます。
ここではまず、公式の発売日又は公開日以降でないと利用してはいけないということですね。フライングは絶対ダメです。
イベント等で先行して公開されているものは、そのイベント時に都度確認が必要となっていますので注意しましょう(任天堂ガイドラインページのQ&A内に記述があります)。
また、公開日前のものについて、公式に公開したものに限り利用できるとなっていますが、
素材等をコピーや自身の創作性を入れず、そのまま公開するだけのものはご遠慮くださいと別途書かれているので、実際に使用できる場面はあまりないのかなと思います。
・投稿に任天堂以外の第三者が有する知的財産権が利用されている場合、このガイドラインとは別に、その知的財産権の権利者から許諾を得る必要があります。
任天堂のゲームプレイを実況する際に、任天堂以外の著作物(ただし、任天堂ガイドラインの対象のものに限ります)が紛れ込まないようにし、もし映像内にそのような著作物が含まれる場合は、自身で当該著作物の権利者に許諾を得てくださいねということですね。
これは当然のことですね。
単に、ゲームプレイの実況をするだけであれば、あまり関係がないケースだと思います。
う~ん、、具体的には、例えば、ゲーム実況しながら、CDなどで著作権の存在するBGMを流しているような場合などでしょうか。
このような行為も留意が必要ということですね。
なお、「著作物」についてはこちらで書いています。
★「著作権」のことやさしく解説します!★
・任天堂は、Nintendo Switchのキャプチャーボタン等の機能を利用する場合を除いて、お客様ご自身の創作性やコメントが含まれた動画や静止画が投稿されることを期待しております。お客様の創作性やコメントが含まれない投稿や任天堂のゲーム著作物のコピーに過ぎない投稿はご遠慮ください。
ここは、もう少しはっきり書いてほしかったと思います。
いわゆるゲームをプレイすること自体が「創作性」にあたるかという点をはっきりしておかないと認識がずれる可能性がありますから。
この項目の、”創作性やコメント”という部分を見ると、創作性=プレイ、コメント=しゃべり、とも考えられなくもないのですが、
創作性=感情や思ったこと、コメント=それ以外の説明など とも考えられるのでやっぱりはっきりしておいた方が良いところだと思いますね。
ただ、最初から最後まで一切無言でゲームプレイだけを流すというコンテンツというのも、おそらく無いでしょうから、一切無言でなければ気にする必要はないところでしょうね。
一応、元法務である私個人の見解としては、ゲームのプレイ自体は「創作性」にあたると考えていますので、これを前提で説明しますが、
ユーザー自身のプレイやしゃべりなど、何らかの形でユーザー自身(投稿者)がゲームに直接関与している内容のものを投稿してね、ということでしょうか。
映像内にユーザー自身のプレイ、感情や思想などを入れることが条件で、単にデモ映像やBGMを流したりするだけのものはダメですということになります。
ただし、Nintendo Switchのキャプチャーボタン等の機能の利用など、公式ツールを使用している場合は除きます。
・お客様が事実に反して、任天堂や任天堂の関係者から、協賛や提携を受けているようなことを示唆したり、誤信させたりしないでください。
これは、事実でないにもかかわらず、投稿動画について、任天堂公認とか、任天堂がかかわっていると勘違いをさせる(してしまう)ような言動や表現はダメというものですね。
視聴者数を増やしたり、注目を浴びるためにやってしまいがちなことですが、絶対にダメでしょうね。
商標権や不正競争防止法などの問題も絡む可能性がありますので注意しましょう。
「任天堂のゲームで遊んでいます」とか、「楽しい」とかそのようなことは全く問題ありません。
・任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています。
ここは、一般的なコンテンツ制作上の注意点ですね。
当然、違法行為や不適切行為はダメでしょうね。
以上が、「任天堂ガイドライン」の定めとなっています。
公式Q&Aの補足解説
ここでは、公式のQ&Aの中から、認識しておいた方が良さそうなところを解説しますね。
創作性やコメントが含まれた動画や静止画が任天堂ガイドラインの対象となると書かれていますので、確実にガイドラインの対象といえる動画内容は、具体的には、ゲーム実況動画やゲーム紹介動画となります。
また一方で、対象とならないものとしては、単にプロモーション動画を転載したものや、他人の投稿の転載、ゲームBGMだけを流すこと、ムービーシーンやイラスト集のみのものなどです。
動画の投稿(アップロード形式)、ストリーミング配信やライブ配信も共に対象になります。結局どのような公開方法でも任天堂ガイドラインを順守する必要があるということですね。
以下の投稿システムを利用する場合に限られています。
Facebookの「Facebook Game Streamer」および「Facebook Level Up Program」
ニコニコ動画/生放送の「クリエイター奨励プログラム」および「ニコニコチャンネル」
OPENREC.tvの「OPENREC Creators Program」
Twitchの「Twitchアフィリエイトプログラム」および「Twitchパートナープログラム」
Twitterの「Amplify Publisher Program」
YouTubeの「YouTubeパートナープログラム」
上記以外の営利を目的とした一切の活動は認められていません。
任天堂のゲーム著作物を利用した動画や静止画について、適切な動画や静止画の共有サイトへの投稿が対象となります。
これ以外の任天堂の知的財産の利用等や行為は含まれません。
なお、「適切な動画や静止画の共有サイト」とは多くの人が一般的に利用している動画や静止画の共有サイト、例えば 、YouTube 、Twitter、ニコニコ動画などがこれにあたります。
なお、情報は随時更新されますので、本ページの記載内容の詳細や最新情報については、以下公式HPにてご確認ください。
出典元:ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン
以上から逸脱する行為は、違反行為として、警告なし削除や損害賠償請求などがなされることがあり得ますので、ルールを守って楽しみましょう。