法律こぼれ話

「マリカー」訴訟 高裁でやっぱり最強の任天堂法務部圧勝!

 

かなり前に、現実の道路を走る「マリカー」サービスに関し、任天堂が運営会社のMARIモビリティ開発を相手取り不正競争防止法違反による損害賠償請求の訴訟を起こしました。

 

地裁では、ほぼ任天堂側の主張が認められましたが、お互い不服ということで控訴しており、その結果が高裁で最近出たわけです。

 

結果は予想通り、最強の任天堂法務部側の圧勝だったわけですが、少しそれについて書いてみたいと思います。

 

「マリカー」という商標権は任天堂だけのものではない

以前の記事で「マリカー」という商標の侵害については任天堂は争うことができないということを書きました。

「マリカー」裁判 任天堂の最強法務部が商標侵害で勝てない理由 【商標】 たびたび話題になる、「マリカー」問題。 最近の裁判で任天堂の主張が認められ、キャラ衣装の使用禁止と1000...

 

 

理由としては、簡単に言ってしまえば、

「マリカー」という名称を用いた、カートをレンタルし路上を走行させるサービスについての商標登録を「MARIモビリティ開発」に先にされてしまったからです。

 

これは明らかに、最強の任天堂法務部の失態であり、油断であったものだと思います。

まさか他社が堂々と「マリカー」を使用して何らかのサービスを行うとは思いもよらなかったことでしょうから。

 

そして任天堂は「マリカー」が他社に商標登録されていることを知り、不服申し立て(商標登録を認めるか認めないかを決めている特許庁に対して、その登録商標に異議ありと訴えること)をしましたが、

これは特許庁に門前払いを食らってしまい、結局「マリカー」を使用した一部の商標登録はMARIモビリティ開発の権利となることが確定しました。

 

ですから、任天堂は「マリカー」という名称を自由自在に使うことはできないですし、MARIモビリティ開発に「マリカー」という名称を使用されても文句は言えないことになったわけです。

 

ただ、最強の任天堂法務部がこのまま黙っているわけはありませんから、次は不正競争防止法という法律に違反しているとして、損害賠償請求の裁判を起こすことになりました。

 

地裁判決では、ほぼ任天堂の圧勝

そして迎えた地裁の判断ですが、結果的には任天堂側がほぼ圧勝しました。

 

内容的には、MARIモビリティ開発に対して、

・マリカーの名称を使用しない

・カートレンタルの際にマリオなどのキャラクターに扮するようなコスチュームを使用しない

・損害賠償1000万円を支払う

などの判断がなされました。

 

しかしこの判断に関し、負けたMARIモビリティ開発も、勝った任天堂も共に判決に不服として控訴します。

 

負けたMARIモビリティ開発は自身の主張が認められなかったので控訴は当然考えられることですが、任天堂も控訴するというのは、徹底的に戦うという意思があったためでしょう。

 

この地裁の判決については、任天堂が主張していた著作権侵害については判断がなされなかったところが納得できないところでしたでしょうし、

また損害賠償請求額についてももっと高額であるはずという思いがあり、躊躇なく控訴に踏み切ったものと考えられると思います。

 

高裁判決は、任天堂の圧勝

そして次の決戦の場である高裁の判決が出ました。

 

結果としては、損害賠償額が1000万円から任天堂の請求の満額である5000万円の支払いに認められ任天堂の圧勝といっても良い内容です。

 

基本的に損害賠償請求の裁判は、請求額以上の支払い判決は出ませんから、任天堂にとっては満額である100%という結果が出たので、最高の成果と考えて問題ありません。

 

そして、地裁の判決は控訴(再度上級裁判所に訴えること)で変わることは珍しくありませんが、今回は高裁の判断であり、高裁の判決が上告(再度上級の裁判所に訴えること)で変わることはあまりありませんから、今回の件はこの結果でほぼ決まりだと見ていいと思います。

 

マリオやその他キャラクターは著作権で保護されている

しかしこのように結果になったところでも、さらにMARIモビリティ開発が上告したらどうなるのでしょうか。

 

おそらくMARIモビリティ開発がこれ以上戦っても、新たなる痛手の拡大をもたらす可能性のほうが高いと考えられます。

 

それは、任天堂が当初から主張していた「著作権侵害」についてその主張が認められる可能性が必ずしも消えているわけではないからです。

 

任天堂が生み出した、マリオやその他キャラクター自体は著作権で保護されています。この保護の対象はキャラクター自身という想像上のものです(絵に書かれたり、ゲーム内に出てくるマリオなどだけが保護されるわけではない)。

 

ですから、どのような場合であれ、マリオなどに類似しているものやイメージの無断使用は著作権を侵害している可能性があります。

 

そして、MARIモビリティ開発が運営する現実版の「マリカー」のコスチュームは任天堂の「マリオカート」に出てくるキャラクターのイメージにとても類似していて、個人的には著作権も侵害しているとも感じています。

 

ですので、MARIモビリティ開発がこれ以上任天堂と争うメリットはなく、むしろ争えば争うほど、自身の痛手を広げていくことがほぼ確実ではないかと思います。

 

ということで、今回の「マリカー」の一件は、やはり最強の任天堂法務部が圧勝という形で幕を閉じることとなりそうですね。

 

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