
昨日のニュース(笑)。
9月20日の自民党総裁選当日に安部首相側が行った「必勝出陣の会」で衆参議員用に333人分のカツカレーが振舞われました。
しかし、実際に安部さんへの投票結果は329票であり、4人の誰かががカツカレーを食べならも投票しておらず、”食い逃げ”したことが明らかになったとのこと。
思わず苦笑いですよね。仮にも国会議員といわれるお方が食い逃げですか。道徳心のかけらもありませんよね。
ただ、今回のケースは一般的に言われるような
食い逃げ=無銭飲食
ではなく、文字通り、ただでカレーを食べておきながら投票せずに逃げただけなので、苦笑いで済みそうですけどね。
そこで、今回はこの国会議員の”食い逃げ”についてではなく、一般的に食い逃げと言われている、無銭飲食に関して、その罪や考え方について解説していきたいと思います。
★目次(もくじ)
食い逃げ 「無銭飲食」とは
一般的に食い逃げといえば、「無銭飲食」のことを指しますので、以下からは便宜上、「無銭飲食」と表現していきます。
「無銭飲食」とは、飲食店などでメニューをオーダーして飲食し、当該代金を支払わずに、その場から立ち去ること(逃げること)
を指します。
主に逮捕されるときは「詐欺罪」に該当する場合ですね。
提供された商品を、ただで飲食する行為が窃盗(ものを胃袋に入れて盗む)にあたるように感じられなくもないですが、窃盗罪でということは見かけません。
このあたりの解釈は、刑法 第235条 (窃盗)の条文に基づくものなのですが、もし詳しく知りたい方がいれば、「無銭飲食 窃盗 利益詐欺 関係」などとググっていただければ詳細な説明があると思います。
いずれにしても、「無銭飲食」という行為は警察に逮捕されることがある、「犯罪行為」になり得ます。
これは飲食に限られず、サービスの提供を受けるものの類であれば同じように詐欺罪が適用されることがあり得ますね。
どのような場合に犯罪になるのか?
上記でも書きましたが、「無銭飲食」の場合には、詐欺罪が適用できるかどうかが問題となります。
以下、主に想定されるケースで見ていきましょう。
最初からお金を持っていないなどの理由で、そもそも代金を支払うつもりがないのにオーダーして飲食した場合ですね。
これは間違いなく詐欺罪となります。疑問の余地は全くありません。
これは、2パターン考えられると思います。
①最初からお金を支払う気がなく店員を騙して逃げた場合
②本当にお金を払うつもりで取りに戻ったが、めんどうになって結果として逃げた場合
①については、店員を騙して(欺罔行為といいます)、飲食代金を支払わず、利益を得ているので詐欺罪に該当します。
②については、店員にお金を取りに行ってくるといった時点では、代金を支払うつもりであったので、この時点では店員を欺いていないことになります。
ですので、詐欺罪には該当しないと考えられます。
しかしながら、実際に支払うと言いつつ逃げてしまった場合に、このように弁解したとしても、店員や警察が「はいそうですか」と信用してくれる可能性は限りなく低いと思います。
ですので、やはりこちらの場合も、かなり強く詐欺を疑われると考えられますね。
ということで、
①の場合は、まず詐欺罪に該当し、
②の場合は、実際に詐欺ではないのかもしれないが、強く詐欺罪を疑われる
と考えられます。
結局、どちらも騙すつもりはなかったという、潔白を証明することが現実的には難しいものであると言えますよね。
やはり、この手の話の問題はこれだと思います。
詐欺罪の構成要件(詐欺罪とするための要件)の1つに欺罔行為というのものがあります。
人を欺いて騙すということですが、詐欺罪の構成にはこれが必要条件となっています。「最初から騙すつもりがあった」という意思が必要ということですね。
ということは、逆に言えば、人を欺き騙すつもりや行為がなければ詐欺罪に該当しないということになりますので、この3のケースでは、詐欺罪にあたらないということになり、
この行為自体は犯罪とならないということになっています。
このような場合に、店側ができることとしては、お金を払え(もしくは商品返却)と言えるぐらいではないかと思います。
ただし、このケースでも、実際には警察や店員から、
『最初から逃げるつもりだっただろ!』と強く疑われるはずで、これについて潔白であると証明することは、かなり難しいことですので、やってもリスクしかない行為ではあると思いますね。
このように、「無銭飲食」は内容により、犯罪か否かという判断が分かれることになってはいますが、実際には潔白の証明がかなり難しいので、変な気は起こさないようにしましょうね。
(おまけ)食い逃げ国会議員は、逃げ得を実践!
今回は、”国会議員がカツカレーを食い逃げ”というのがあまりにもおかしかったので、このような記事を書いてみました。
自民党総裁選は、公職選挙法の対象外ですし、このようにカツカレーが振舞われても何の問題もないのでしょうが、
「カレーを食べといて投票しないとはけしからん」
とか
「ただでカレーを食べたやつがいる」
などが関係者談として挙がっているのを見る度に、まるで事前に投票する約束があったはずなのになんで投票しないやつが食べているんだと言っているように見えたりして、率直にその表現はいかがなものかと感じます。
また一方で、投票すると見せながらカツカレーを食べて逃げた、食い逃げ国会議員4人については、まさに政治家の本領発揮といいますか、面の皮は厚いといいますか、嘘を付くことなんて何とも思っていないのでしょうね。
ただただ、国会議員の品位や品格として、恥ずかしくタチが悪い限りですが(笑)。
『食い逃げ国会議員』 とても滑稽で面白い表現ですよね。
それでは~。