法律小話

【退職】(一方的な)退職までの最短期間は2週間! ただし一部の例外もあり

 

最近見かけた、退職代行というもの。

 

様々な理由から、直接退職処理ができないという人に代わって、退職させてくれるというサービスですよね。それも、なかなか繁盛しているみたいです。

 

確かに、“退職”で検索すると膨大な情報が見つけられますが、間違っている情報もなかなか多い感じ・・・(笑)

 

「もう二度とあの会社にはかかわりたくない!」っていう人が依頼するケースは多いのでしょうが、

 

一方で実際に自分で調べてみたけど、情報が多すぎて、よくわからない(自信が持てない)から、こういうサービスに頼ってしまうこともあるのかなと感じました。

 

そこで今回は、就業規則を作成したり、人事実務経験があるウィッフィーが、この「退職」に関することと、退職までの期間について法的にはどのように考えられているのかなどを書いていきたいと思います。

 

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退職するときに確認するもの

まず、退職したいと思ったら、必ず確認すべきものがあります。

 

・就業規則

・労働契約書(雇用契約書など呼び方は様々)

 

です。これで2つのことを確認しておきましょう。

 

 ① 退職の申し出から退職日までの申し出期間の定め

就業規則をきちんと作成して、周知している会社であれば、すぐに就業規則を確認して、退職に関する条項を確認してみましょう。

 

就業規則がない会社、あるいは従業員に周知されているとは言えない会社であれば、書面でもらっているはずの、労働契約書(雇用契約書など名称は様々)の中に退職に関する記載がないか確認してみましょう。

 

確認してみると、おそらく退職日の取り扱いについて記載があり、

例えば「退職を希望する日の1か月以上前に申し出ること」というような、いつまでに申し出てください、という期間の定めがあると思います。

 

これが、会社とあなたの間で決められている、退職の申し出から退職日までの期間ということになります。

 

この退職までの期間は、会社ごとに様々にあると思いますが、1か月や3か月が多いのかなと思いますね。

 

この期間に従って退職の申し出をすれば、定められた期間の経過後に双方合意の上での退職となります。

 

しかし、何の問題もなく、この期間に従える場合は良いのですが、きっとこれに従いたくないときもありますよね。

 

そんなときは、基本的には最短2週間で一方的に退職することもできます。それについては次の項で書いていきますね。

 

ちなみに、もし就業規則がないとか、退職までの期間について何も定められていない場合(労働契約書内にも当該事項がない場合など)は、民法の定めの通り、退職の申し出から2週間経過後に退職となりますのでこちらも安心してください。

 

でも、このような会社は就業規則を周知したり、労働契約書に必要事項を記載し書面で渡していないという、そもそも違法行為をしても平然としている会社ですので、いろいろとトラブルが起きそうですよね。

 

とはいえ、就業規則や退職について明示していない会社が悪いということになります。

 

 ② 労働の期間に関する定め

ここは、いわゆる無期雇用契約なのか、有期雇用契約かの確認ですね。労働期間が具体的に定められているかという点です。

 

特に期間の定めがない、無期雇用契約の場合であれば特にありません。一般的に正社員と言われている場合ですね。

 

しかし、もし有期雇用契約であった場合には、通常とは異なるので注意が必要となります。

 

 

退職までの最短期間は今すぐ。一方的に退職する場合の最短期間は2週間。ただし有期雇用と年棒制は除外。

まず、最短期間で退職できる方法は、双方が退職に合意した場合です。

 

就業規則その他書面等でどのような取り決めがあったとしても、新たに双方が退職に合意すれば、その条件で退職は成立しますので、合意があればいつでも退職はできることになります。

 

ただ、実際にはこのようなケースはなかなかないでしょうから、法律ではどう扱われているかを見ていきます。

 

退職期間に関し根拠となっている規定は、民法の以下3つです。

 

第627条
1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2.期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3.六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

 

 

少し説明しますね。まず、

雇用期間が無期雇用契約の場合

は1項に該当しますので、

退職(=労働契約の解約)の申し出から最短2週間で退職となります

 

ですので

就業規則や労働契約書などに退職期間について定めがあったとしても、あなたが会社に退職しますと申し出た日から2週間経過後に、会社の意思にかかわらず退職が成立します。

 

そして、2項では、期間によって報酬を定めた者ですから、”本当”の「年俸制」「月給制」と言われるものにあたります。

 

最近では、「年棒制」を導入している会社も増えていると思いますので、「年棒制」と言われている人はこれに該当する気がしますよね?

 

しかし、この2項で言う「年棒制」とは、本当の「年棒制」(「月給制」)のことを言いますので、実は多くの人は当てはまらないものです。

 

「年棒制」と言われているあなた、本当に「年棒制」ですか?

 

例えば、出勤日数や月の所定時間が決まっていて、その条件を満たして初めて満額が支払われ、欠勤したり、所定時間を下回った場合に、その分差し引かれたりしませんか?

 

このように不足分を差し引かれたりするものは、本当の「年棒制」「月給制」とはいえないものなので、これには含まれないという判断がされています

 

ということで、ほとんどの正社員の方は、この民法第627条1項によって、退職の申し出から最短で2週間で、会社の意思にかかわらずその退職は成立するということになります。

 

そして、本当の「年棒制」であった場合、やはり最短は2週間なのですが、退職を申し出る日(タイミング)によっては、1か月程度に伸びるときがあります。

 

もう一度、第627条第2項を見てみましょう。

2.期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

解約の申し入れは次期以降についてできるということですから、次の期間からを止めにできますよという意味ですよね。

 

そして、その解約は当期の前半にというわけですから、

 

例えば、月末締めの会社であった場合、12月いっぱいで退職したい場合は、12月15日までに申し出た場合、12月末で退職できるということになります。

 

もし12月16日以降に退職を申し出た場合には、1月いっぱいまで退職できなくなってしまうということになりますね。

 

ですので、本当の「年棒制」の人は、会社の締め日や期間等の条件を確認し対応しましょう。

 

また、6か月以上期間によって報酬を定めた場合は3か月前の申し出が必要という条文もあるのですが、今回は該当する人が少ないと思うので、特に触れません。

 

そして、次が

有期雇用契約の場合

ですね。

 

民法628条を見てみましょう。

第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

となっています。

 

これを見ると退職までの最短期間は、この

「雇用の期間を定めた場合であって、やむを得ない事情があるときは、直ちに契約を解除することができる

に該当する場合になります。

 

やむを得ない理由としては、そもそも書いてある労働条件と明らかに違うとか、出産時や病気で入院などの、実際に働くことに支障があるような場合と判断すれば良いと思います。

 

このような場合に、すぐに解除できることになっています。

 

ただし、この解除によって相手方に損害が発生した場合には、その損害を賠償する責任が発生することがあり得ます(とはいえ、特別な事情がない限り実際にはほとんど認められません)。

 

また、こちらも双方の合意があれば、合意した瞬間に退職とすることもできます。

 

ですので、あなたが今日で会社を退職しますと言って、会社がわかりましたとなれば、そのまま退職となります。しかし、現実にはこのような例は多くはないでしょう。

 

やはり気になるのは、あなたが一方的に退職するときの最短期間ですよね。

 

実は、この民法628条は使用者にも被使用者にも適用されますので、

有期雇用の場合、原則としてやむを得ない理由を除き、定めた期間が終了するまでは退職できないことになります。

 

こちらはなかなか厳しいですね。一方的に退職することは原則として認められていないということになっています。

 

ただ、定められた期間が、1年以上だった場合には、期間が1年以上経過していれば、無期雇用の場合と同じように、退職の申し出から最短2週間で退職が成立します。

 

ただし、この場合でも一定の専門知識・技術・経験を必要とされる労働者などの一部の者(主に医師や弁護士などの専門性の高い資格者など)は対象外とはなりますが、一般的な会社員の業務であれば関係ないところだと思います。

 

これは、社員とかアルバイトとかの呼称による違いはありません。働くことについて、期間の定めがあるかないかという点で判断となります。

 

このように、期間の定めに関する契約形態によって判断が変わるので注意が必要です。

 

まとめ

退職までの最短期間についてまとめておきますね。退職とは、会社とあなたとの労働契約(雇用契約)が終了することを意味します。

 

合意退職

期間の有無その他どのような条件があったとしても、双方(会社とあなた)の合意があれば、いつでも好きなときに退職をすることができる。

退職までの最短期間は合意の瞬間であり、今すぐということも可能です。

 

従業員側からの一方的な退職

・無期雇用(特に期間の定めがない)契約の場合

退職申し出時から最短で2週間経過後に退職することができる。

 

・有期雇用契約の場合

原則として、期間満了までは退職できない(双方合意があれば即可能)。ただし、1年以上の期間のある契約であった場合、1年以上経過後は、無期雇用契約同様、退職申し出時から最短で2週間経過後に退職することができる。

 

・年棒制

自分の締め日や期間等の条件を確認し、退職したい日から逆算して、申し出から退職まで2週間になるように調整が必要。

 

以上が、退職の最短期間と説明になります。

 

もし退職できずに悩んでいる方、退職したいけどどう考えたら良いかわからない方などがいらっしゃれば、こちらが参考になれば幸いですね。

 

 

 

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