さて4月に入り、NHKの受信料未払い金請求3倍拳!が合法になり、実務対応が可能となりました。税金でもないこの既得権益はまだまだ続きそうです。
そして巷では、『今すぐ受信契約を締結し支払いをしないこと』をお勧めするという話もちらほら。そこで今回は賛否はおいておき、なぜこれがお勧めとされているのかの話をしてみます。
キーワードは
・受信契約の未締結者
・時効の援用
です。気になる方は読み進めてみてください。
また、受信料割増金を支払わない方法・内容についてはこちらで解説しています。
★目次(もくじ)
未払い受信料請求3倍拳の対象者
まず最初に、今回の3倍拳請求の対象となり得る人を見てみたいと思います。
あくまで現時点ではありますが、
『正当な理由なく受信契約に応じない人』
としていますので、受信契約が未締結の人を対象にしています。ですので受信契約の締結者は対象外となり、受信契約締結をお勧めしているということになります。
受信契約締結者は(時効援用により)支払い料金に上限ができる
そして次のキーワード『時効の援用』についてですが、
時効の援用とは、民法第145条
第145条
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。 第145条時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
に定めがあり、簡単に説明すると
時効とは・・・長い間続いた事実状態を正当な状態(法的に)と認めること。
援用とは・・・自助として他の文献・事例・慣例などを用いて使うこと。
ということですから、長く続いた状態(未払い)を自ら正当化し、それを法律でも認めますよというものになります。
これを受信契約にあてはめると、一定期間以前の受信料についてはNHKが請求したとしても時効を援用すれば支払いの義務(債務)が存在しないこととなるわけです。
この場合NHKの受信料請求(債権)の時効(消滅時効)とならない行使可能期間は5年となっていますので(最高裁判決)、受信契約締結者の受信料金は5年分が上限となり、それ以上は時効援用により支払う必要がなくなります。
この上限が受信契約締結をお勧めしている理由の1つとなっています。
受信契約締結者と未締結者の比較
ここまでのまとめです。
受信契約締結者 | 未締結者 | |
3倍拳請求の対象 | × | 〇 |
未払い料金の上限 | 〇 | × |
ということで、これだけを見れば『契約締結をして支払わないこと』をお勧めされているのは適当なのかなとは思います。
受信契約締結者と未締結者の比較(続き)
ただ上記だけでなく、それ以外で知っておいた方が良いと私が感じる点を少し書き足してみます。
受信契約締結者 | 未締結者 | |
3倍拳請求の対象 | × | 〇 |
未払い料金の上限 | 〇 | × |
①支払債務・請求通知督促等 | 〇 | × |
②訴訟リスク | 〇 | △ |
①支払債務・請求通知督促等
契約締結をしたということは、当然ながらそれ以降解約までずっと支払いの債務を負います。そして支払いが何らかの形で滞ったり、延滞すれば支払うまでついてきます。
②訴訟リスク
契約締結時に個人情報を把握されるため未払いなどがあった場合にはいつでも訴訟を起こされる可能性があります。またこのような状態で訴訟を起こされれば100%負けます。(支払い命令)
一方で未締結者が訴訟を起こされるケースは限られており、
・テレビなど受信設備を設置している(持っている)ことが明らかな場合
・氏名などの個人情報が把握されている場合
など、NHK側が確実に受信設備を持っていると確認できる状態であることが前提となっています。なおNHKは強制捜査権がありませんので自ら調べるのはほぼ困難です。
と、いろいろな側面があります。
確かにこれを機会に受信契約がまだの人は締結を進め、のちの3倍拳または訴訟リスクの憂いをなくそうという話がお勧めされているのはわかりますが、
可能な限り早めに、このような強権を発動しテレビ業界をさらに衰退させるような施策を打ち、国民に不便を強いる国(総務省)とNHKから合法的に関係を断てる方法、
・NHKが映らないテレビを持つ
・テレビを捨てる
というのが気持ちも休まり、最善だとは感じつつあるのも事実ですね。