私が法務の時によくプライベートで聴かれたことの1つが、交通費の請求に関することでした。
そこで、今回は多くの会社で支給してくれる交通費の概念と不正な請求等がもたらす結果について書いていきます。
★目次(もくじ)
会社は交通費を必ず支給しなけければいけないのか?
現在多くの会社で支給されることが多い交通費(通勤費用)ですが、この交通費について法令はどのように取り扱っているのでしょうか。
答えとしては、
『交通費については法令は特に定めていない』
ということになります。
ですので交通費の概念としては、会社の善意により支給されていると考えて問題ありませんから、交通費の支給がないからといって、労働基準法などの法令に違反するといようなことはありません。
交通費が少ないとが、上限が決められていて全額支給されず不満だというような声を聞くこともありますが、これについては会社の判断がすべてですので、その会社の判断に従うことしか選択はないということになります。
交通費の不正請求(受給)は詐欺になります!
こちらもよく聞くのですが、申請経路とは異なる経路を使用し、支給されている交通費よりも実際には少ない交通費で通勤をしているようなことがあったりします。
本人は差額分を得したつもりで話しているような場面に遭遇することもしばしばですが、実はこれ詐欺の構成要件が成立していますので、会社がその気になれば詐欺になります。
軽い気持ちで最後の1駅分を歩くようにして交通費を浮かしているとか、バス通勤の申請をしておきながら、実際にはバスを利用していないなど多くの実態を聞いたことがありますのが、このような行為は絶対におすすめできませんので、正しく通勤経路を申請し直すなどの対応をしておきましょう。
ただし、会社がこのような事情を知っていながら認めている場合には詐欺にはなりませんので安心してください。
不正請求による交通費の支給分は返還請求される
と、表題のとおりなのですが、不正に交通費の請求をし、支給を受けていることが発覚した場合、会社からは当該期間分の不正支給分の返還請求を受けることになります。
そして、何らかの懲戒処分が下される可能性が高いです。最悪解雇というようなこともありえますので、結果としては損するようなことになるはずです。
また、詐欺罪で警察を介入させるかは会社の判断次第ですが、相当悪質な場合などは、実際に詐欺でつかまるケースもないとは言えないものであると知っておいたほうが良いと思います。
詐欺じゃなくても、、結局横領になる
詐欺の構成要件として、騙して利益を得ようとしたという心理があった(不法領得の意思といいます)という証明が必要ですので、実際に明らかに会社を騙して不正受給をしようとしたということを客観的に証明することが必要です。
ですから、もし交通費の不正受給があった場合、会社としては詐欺で警察に突き出すのは体裁もあってほとんど聞いたことはありません。
しかし詐欺は難しいからと、不正に交通費の支給を受けていた場合、どのみち横領にあたる可能性は残ります。結局会社がその気になれば警察に突き出すこと事態は難しくありません。
そして確実に返還請求と懲戒処分などの処分はあると思いますので、ほんの軽い気持ちで行っていたとしても、いざ発覚したときには結局大きな不利益として返ってきますので、このようなことは行わないようにしましょう。