
昨日見かけた、「資金決済法違反容疑で逮捕 健康食品販売、社長ら7人」というニュース。その珍しい容疑につい目が行きました。
普段の生活の中ではまず聞くことのない「資金決済法」という法律ですが、実は、私たちのごく身近で関わっている法律でもあります。
今回はその「資金決済法」について、以前ある企業でこの「資金決済法」の担当経験もある私が2分ぐらいで簡単に解説してみたいと思います~!
★目次(もくじ)
資金決済法とは
「資金決済法」とは、「資金決済に関する法律」の略称です。
いわゆる現金以外の一定の支払い手段などについても規制している法律で、例えば、販売されているようなゲームのポイントやコイン、ギフト券や商品券(これらを前払式支払手段といいます)などがそれにあたります。
ゲームでお金を払ってポイントをチャージしたけど、もしそのゲームが終了した際に、チャージされているポイントについては一切返金しませんとか、会社は倒産するのでポイントの返金なんてできませんなどと、平然と対処する企業もありえますよね。
そのような、消費者が一方的な不利益を被らないよう、消費者保護の観点からもさまざまに定めがあり、「前払式支払手段」の適正な管理と、消費者の保護を主旨として作られたものがこの「資金決済法」という法律です。
この法律の管轄は金融庁で、対象となる企業は厳しい管理対応を要求される法律という印象です。

前払式支払(まえばらいしきしはらい)手段とは
以下の条件を満たすものが「前払式支払手段」に該当します。
「前払式支払手段」とは、次の4つの要件が全て備わっているものが該当します。
(1) 金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。
(2) 証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。
(3) 金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。
(4) 物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。
例えば、商品券、ギフト券、プリペイドカード、IDなどがこれにあたります。もっとも、乗車券や入場券あるいは発行の日から一定の期間内に限り(6月)使用できるものは、4つの要件が備わっていたとしても、前払式支払手段に該当しないものとされています(別表参照)。
出典元:一般社団法人日本資金決済法業協会HP より
これを簡潔にまとめると、
何らかの対価(現金など)を得て発行される証票(証明書のようなもの)であって、商品の購入やサービス提供の支払いに使用できるもので、有効期限が6か月以内のものではないもの。
という条件を満たすものとなります。
一定の条件を満たすポイントやコインは対象に
上記の「前払式支払手段」に該当すると、「資金決済法」の対象になります。
具体的には、購入したポイントやコイン、ギフト券や商品券などのうち有効期限が6か月を超えるものがそれにあたります。
世の中には有効期限が発行から6か月というポイントなどが圧倒的に多いと思いますが、実はこの「資金決済法」の影響なのです。
有効期限を6か月以内にすることによって、「前払式支払手段」に該当しないようにしているわけですね。

「資金決済法」を守っていない企業はとても危険!
「資金決済法」はいわば現金と同等である、独自の支払い手段を規制するものですから、
もし、この「資金決済法」を順守していない企業があるとすれば2つの意味でそれはとても危険です。
1つは、このような企業は、まず間違いなくサービス終了してもポイント等の返金もしないし、あっという間に倒産などをして行方が分からなくなったりします。
現金と同価値ともいえる、購入したポイントやコイン(前払式支払手段)の管理について知識もなく、関係法律も守っていない企業の内部管理体制はいわずとも予想できますよね。
そして、もう1つは、前払式支払手段の多くは、それを発行した企業のサービス内でしか使用できないものだと思います。
これは、もしそのサービスが終了したら、その限りで購入ポイント等は使用できなくなりますし、最悪サービスとともに消滅してしまい、返金の対応などもされない可能性がかなり高いということになります。
「資金決済法」を順守していない企業であれば、そもそも違法であり、いつでも逃げる用意はできているでしょうから、これぐらいのことは平気でおこると考えられますよね。
また、一方で「資金決済法」の対象である企業は多くはないと思いますが、逆に言えば、対象企業の「前払式支払手段」はかなり安全で信用できるものであり、また管理体制は問題がないものと推測できると思います。
「資金決済法」では、前払式支払手段の発行残高が1,000万円分を超えると、もしもの場合の消費者への返還等のための供託金(保証金)が必要で、いざというときの返金資金なども担保されています。
何億円という供託金ができるということは、運転資金も十分であるということは考えられますから、少なくてもぎりぎりの経営状況ではないはずです。
このようなところからも企業の信用や経営状況を垣間見ることができますよね。
知っておきたいポイントまとめ
最後に知っておきたいポイントをまとめてみます。
・購入ポイントやコインで有効期限が6か月以内のものは誰でも自由に発行でき、「資金決済法」の対象ではないので、購入ポイント等は「資金決済法」では保護されません。
このパターンが一番多いもので、有効期限6か月以下のものは何でも自由にできてしまうというところで、自由=リスクがあります。
・購入ポイントやコインで有効期限が6か月を超えるものは、「資金決済法」の対象ですので、購入ポイント等も保護の対象になります。発行企業は厳しい内部管理ができており、安全性も高いです。
・購入ポイントやコインで有効期限が6か月を超えるものを発行しておきながら、「資金決済法」を順守していない企業やサービスの使用はとても危険。
*「資金決済法」の対象であれば、ポイント等の購入前に必ず「資金決済法」で定められ事項の表示がなければなりませんので、そのような表示が見当たらない場合は、「資金決済法」に順守していない可能性が高いと考えられます。
よく知らない企業の商品やサービスを購入する際に、独自の支払い方法(ポイントやコイン等の購入をさせる)がある場合には、「資金決済法」に該当するかなどから確認できると、より安全な取引ができるようになると思いますね。
それでは~。