元「法務」のこぼれ話

私が法務を辞めた理由 ~批評家気取りのイタイ勘違い!?~

 

私は以前ある企業で法務もやっていました。

 

一般的に法務と聞くと、いろいろな意味で難しい人が多そうなイメージがあると思いますが、実際そうだと思います(笑)

 

完全に個人的な主観ではありますが、態度や言葉遣いが偉そうに見えてしまい、そして頭が固く融通も気もききません(笑)

 

今日は、そんな法務を私が嫌になった理由について書いていこうと思います。

 

「法務」とは

比較的大きい企業であれば「法務」という部署はあることが多いと思いますが、この「法務」については、はっきりと定義されておらず、各企業により業務内容は変わると思います。

 

端的に一言でいえば、「法律に関連する業務を行う」ところだと思います。

 

上場企業や非上場でも変わりますし、会社の法人の種類によっても業務は変わってくると思いますので、会社ごとにその業務内容は様々です。

 

「法務」の業務

そして、実際に私が行っていた具体的な業務は以下のようなものです。

 

・契約や取引に関する助言など

おそらく一番メジャーであるのが、契約や取引回りのレビューだと思います。契約書のチェックはおなじみでしょう。

契約の原則は自由ですので、お互いが希望する条件や内容で契約締結しようと進めます。その中で相手方や内容等について、リスクに関する条項の内容確認や関連法令に違反してないかなどを事前に確認する業務となります。

 

・商標・特許申請等に関する手続き、助言など

私の会社では商標は数多く登録しているのと、特許もわずかですが出願もしていました。ですので、商標申請に関する事前調査なども業務で行っていました。

商標については、類似登録商標の事前調査や、役務内容の確認、出願手続きや助言などを行い、特許については、他社の特許との類似や侵害性の事前調査や、弁理士調整、出願手続きや助言などを行っていました。

 

・コンプライアンス関連

社内のコンプライアンスに関する資料を作成したり、講習をしたり、経営陣に助言することや、相談窓口の設置、相談対応などを行います。

社内の営業部門、企画部門やデザイン部門の内容チェックなども行います。

 

・対公的機関との事務手続きや助言など

警察などの捜査機関からいろいろな問い合わせや照会などがありますので、それらへの対応や助言をします。

 

・紛争対応

実際にトラブルや紛争が起きそうなとき、起きたときに事務手続きをしたり、助言をしたりします。弁護士が関わる案件も多いので、弁護士との確認、調整なども行います。

また、いわゆる労働法関連は人事部管轄のところもあると思いますが、元従業員との紛争などは、労働法に詳しい法務担当が対応する場合などもあり、このような場合に相談対応や助言を行います。

 

・法律に関する調査

自社の新サービス、ビジネススキームや内容が法令に違反するところはないかなどを事前に調査します。

 

一般的に「法務」の具体的な業務にはこのようなものがあると思います。

 

「法務」を担当する人材の特徴

さて、ここでは「法務」という業務を担当している人材について書いていきますね。

 

皆さんご存知の通り、「法務」という業務は専門職なので、司法試験の合格者であったり、現役の弁護士という場合も少なくありません。その他司法書士、行政書士などの資格を持っている人も多いと思います。

 

なんといいますか、言いたいことって伝わります?

 

決して全員とは言わないですが、

『俺は先生だ』みたいな空気が溢れ出ている人、

『俺は偉いんだぞ』という態度が溢れ出ている人、

『俺は頭がいいんだぞ』と言わんばかりの屁理屈、偏屈揚げ足取り大先生、

何事も『いちいち小難しく答える』人、

 

などが本当に多かったです!(笑)(笑)

 

そんな人が体感で8割ぐらいでしょうか(笑)

 

こんな私も、司法試験経験組や弁護士登録している人と同じチームでしたが、せっかく現役弁護士であるのに、実にもったいないとは思っていました。

 

しかし少し冷静に考えてみると、このような傾向の人が集まるのは自然であることがわかってきます。

 

例えば、独立した弁護士としてやっていくということは、相手にするのは100%顧客なので、法律や判例の知識以外に、コミュニケーション力や営業力なども必要になります。

 

しかし、企業で”いち従業員”として働いているということは、個人的にどのような理由があったとしても、そういう事を避けるべく理由があったということです。

 

深追いはしませんが、そのような独立の道を進めなかった人たちが自然に集まってくるのが企業の法務というわけです。

 

ですから『小さな世界で威権を撒き散らす』、そのような人材が集まる傾向にあるのは必然でもあると考えられますね。

 

皆さんも会社で法務の人とかかわることがあると思いますが、基本的に無意味にプライドが高いので、機嫌を損ねないように注意しましょうね(笑)。

 

「法務」が嫌になった理由

今までの文面を見ただけでも、私が法務にあまり好感を持っていないことはおわかりだと思います(笑)。

 

その理由も含めて、ここでは私が法務を去った理由について書きますが、一言で言ってしまえば、

『法務の人は得てして、違法かそうでないかのみを論ずるだけの偉そうな批評家気取り』

であると強く感じたからです。

 

私が法務にいたときも、上記に書いたような法務の業務を行っていました。

 

それぞれに担当事業部を持っており、普段は1人で担当分門を見る方式だったのですが、ときどきやってくる、新規の大型案件や、刑事罰が絡むような複雑な案件の場合は、法務のメンバーが複数人で対応することがありました。

 

そのときも新規の大型案件の相談が来たので、私を含めて3人の法務メンバーとプロジェクトリーダーで事業検討会にて、事業内容と関連法律について確認をしていました。

 

法令に基づいた見解をするので、基本的には法務内で意見が割れることはめったにないのですが、その時の案件は未知の分野(まだ競業がごくわずかという事業内容)ということもあって、珍しく法務の中でも意見が割れるところがいくつかありました。

 

ここで、企業法務が持つべき役割について、私の考え方を書いておくと、

法律に違反するかしないかは弁護士に確認すればわかることであり、企業法務の役割は、事業側が考えている内容をなるべく尊重しつつ適法内とできるように具体的な助言をすること、そして社会の中での法律の適用実態なども鑑みて回答すること。

が重要である。という考えでした。

 

これは、もっとかみ砕いて言えば、

違法であるかどうかは調べればすぐわかることであって、それ自体の回答が求めれられているものではなく、それが違法であるという場合に、具体的にどこをどうしたら適法内で事業ができるのか、また、実社会での法律の適用事例も考慮する(実際に適用事例がないものが本当にリスクなのか)。

ということになると思います。

 

実際にそうだと思いませんか?

 

法務が偉そうに出てきて、

「あ、それは違法ですのでできません」

「それはグレーゾーンですね。やめたほうがいいと思います。」

とか繰り返すだけの打ち合わせに、何の意味があって、事業側は本当に満足できるのでしょうか。

 

これは、実際に法務に携わる者が、経営や営業部門での経験がないという面も大きいとは思いますが、少し考えれば、事業側は弁護士気取りでただ「違法か違法じゃないか」という見解だけを求めているわけではなく、

具体的にどうすれば、適法に事業計画に基づき事業展開し利益を得られる内容で進められるのかということを確認したいはず、

とわかりそうではないかと思いますね。

 

もし、そこまで頭が回らないなら、まったくもって企業法務としては失格であると思います。

 

そして、その時の私以外の法務のメンバーがまさに「それ」でした。

 

法律ではグレーゾーン(はっきりと定めがない)に見えるが、現実の社会では、一回も検挙や指導例がなく、行政庁のHPでも注意喚起等も全くなく、先行同業者もいる事業内容について、

「危ないから」

と言ってやめさせようとする。

 

前例がないと言って、やらないのは行政だけにしてほしいところですよね(それもどうかと思いますが・・)。

 

結局はっきりしないままで、事業側の人はもやもやしたでしょう。

 

法務メンバーに私の考えを説明はしましたが、現状すでに出来上がってしまっている

『責任を持つことがない、批評家気取りの心地よさは捨てられない』

のでしょう、あんまり深入りしたくないという意見があったことも記憶しています。

 

以前から私は、この批評家気取りで

「あ、それは違法ですのでできません」

「それはグレーゾーンですね。やめたほうがいいと思います」

と回答する仕事は、企業法務としての仕事は違うと感じていましたが、この件で私は目が覚めました。

 

ここの企業法務は、月5万円の顧問料を支払って顧問契約できる弁護士が片手間でするような仕事を業務と勘違いしていて、今後もこんなことが続くのかと思ったときに、法務を辞めようと決めました。

 

皆さんの会社でも法務はいるかもしれませんが、もし法務に確認事項があるときには、はっきりと、

「具体的にどうすればできるようになるのか」

「そのままが違法であるなら、具体的にどこをどうすれば会社が幸せになれるのか」

を聞くようにしてみるのが良いと思います。

 

そこまで用意できて、初めて企業法務と言えると思いますし、一方でその回答次第で、その法務担当がどのような企業法務像を持っているかが見えると思います。

 

また、もし法務の方がこれを読んだのであれば、

株式会社などの一企業の「企業法務像はどういうものであるべきか」

ということを考えたうえで、業務に活かしていただければ幸いですね。

 

企業法務とは、ただの「違法か違法じゃないか」の判定人ではありませんから。

 

これは法務に限らずどの部署も同じだと思いますが、会社から何を求められているのかを正しく把握し、正しく導いて行ける部署や人こそが求められると思いますね。

 

それでは。

 

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